説明
クラミツハ(闇御津羽神)メダカは、佐賀県の美心めだかによって2021年秋にリリースされた透明鱗ブラックリムの改良メダカです。五式typeR、黒蜂、紅薊、ブラック透明鱗スワロー、卑弥呼という5つの品種を複雑に交配することで作出され、頭部が朱赤(玄以外)の透明鱗ブラックリムという独特の美しさを持っています。
品種名は日本神話「古事記」に登場する神様の名前から取られており、松井ヒレ長やスワロータイプなど4つのバリエーションが存在します。美心めだかの技術力と創造性の結晶として、改良メダカ界でも注目を集める品種の一つです。
クラミツハメダカの飼育難易度
クラミツハメダカの飼育難易度はやや高いです。ブラックリムの品種はデリケートな品種が多いですが、クラミツハはその中でもデリケートな部類です。また、産卵数そのものは多いですが産みが止まったり、無精卵が多いなどややクセが強いです。
クラミツハメダカの固定率
クラミツハメダカの固定率は非常に高いです。さすが美心メダカといったところでしょうか。ほとんどがブラックリムの親とよく似た個体が出てきます。
クラミツハメダカの派生品種
クラミツハメダカの派生品種について説明します。
クラミツハ霞
クラミツハ霞はヒカリヒレナガ体型のクラミツハ。クラミツハの中でも特に人気が高い品種。
クラミツハ乱
松井ヒレナガタイプのクラミツハ。ひらひらしたヒレがとても優雅
クラミツハ蒼
ブルーアイタイプのクラミツハ。ほとんど市場に出回らない。
クラミツハ(闇御津羽神)メダカとは?基本的な特徴
クラミツハメダカは、佐賀県でサラリーマンをしながら趣味でメダカを育てている美心めだかによって作出された独創的な改良メダカです。2021年秋のリリース以来、その独特の美しさと複雑な遺伝的背景から多くのメダカ愛好家に注目されています。[3]
この品種の最大の特徴は、透明鱗とブラックリムの組み合わせに、朱赤の丹頂表現を加えた複合的な美しさにあります。単一の形質ではなく、複数の美しい特徴が調和することで、従来にはない新しい表現を実現している点が評価されています。[2][1]
作出者と名前の由来
クラミツハメダカの作出者である美心めだかは、佐賀県を拠点とするメダカブリーダーです。本職はサラリーマンでありながら、趣味として始めたメダカ飼育で高い技術力を持ち、YouTubeチャンネルでもメダカ飼育のノウハウを発信しています。[3]
品種名の「闇御津羽神(クラミツハ)」は、日本神話「古事記」に登場する神様の名前から取られています。この命名には、日本の古典文化への敬意と、品種の神聖さや特別性を表現する意味が込められています。
美心めだかは、クラミツハシリーズの作出に約3年の歳月をかけており、毎日毎日観察してこまめな選別を続けてきました。特にクラミツハ乱の作出が最も時間がかかったと述べており、その執念と情熱が品種の完成度の高さにつながっています。[3]
この品種名からも分かるように、美心めだかは単なる外見の美しさだけでなく、品種に込められた物語性や文化的背景も重視するブリーダーとして知られています。
複数品種の交配による作出過程
クラミツハメダカは、五式typeR、黒蜂、紅薊、ブラック透明鱗スワロー、卑弥呼という5つの異なる品種を複雑に交配することで作出されました。この多品種交配は技術的に非常に困難で、高度な遺伝知識と長期間にわたる選別作業が必要でした。[3]
各親品種からは異なる特徴が受け継がれており、五式typeRからは頭部の朱赤色と優秀な体型、黒蜂からは黒い縁取り、紅薊からは透明鱗の特徴、ブラック透明鱗スワローからはスワロー特性、卑弥呼からはヒレ長の特徴が導入されています。[2]
この複雑な交配により、従来の単一品種では実現できない独特の美しさが生まれています。特に透明鱗とブラックリムという相反する特徴を組み合わせることで、他の品種にはない独特のコントラストを実現しています。[1]
作出過程では、目的とする形質の固定に長期間を要し、特にスワロー特性を持つ朱赤丹頂透明鱗の改良には技術的な困難さがありました。[3]
クラミツハメダカの外観的特徴と魅力
クラミツハメダカの外観的魅力は、透明鱗による透明感とブラックリムによる黒い縁取り、そして朱赤の丹頂表現の絶妙な組み合わせにあります。これらの特徴が調和することで、上品で洗練された美しさを演出しています。[1][2]
特に頬の赤い表現(頬赤)は透明鱗の特徴的な美しさで、この赤色と頭部の朱赤が相まって、非常に印象的な外観を作り出しています。また、各バリエーションによって異なる魅力を持つことも、この品種の大きな特徴です。[4]
透明鱗ブラックリムの美しさ
クラミツハメダカの最大の特徴である透明鱗ブラックリムは、透明な鱗と黒い縁取りの組み合わせにより、独特の美しさを演出しています。透明鱗により体の内部構造が透けて見え、神秘的で上品な印象を与えます。[3]
ブラックリムは各ヒレの縁に現れる黒い縁取りで、透明鱗の透明感と対照的な美しさを持っています。この黒い縁取りが、全体的な印象を引き締め、高級感のある外観を演出しています。[2]
五式系譲りの背鰭が効かないリムの強さも楽しめる要素となっており、光の角度によって様々な表情を見せてくれます。特に自然光の下では、透明鱗の透明感とブラックリムのコントラストが最も美しく映えます。[2]
体色についても個体差があり、より透明感の強い個体から、やや色味のある個体まで様々な表現が見られます。この多様性も、クラミツハメダカの魅力の一つとなっています。[1]
朱赤丹頂と頭部の色彩表現
クラミツハメダカの頭部に現れる朱赤の丹頂表現は、品種の最も印象的な特徴の一つです。この朱赤色は五式typeRから受け継いだもので、透明鱗の透明感と美しいコントラストを作り出しています。[2]
丹頂の表現には個体差があり、濃い朱赤から淡い朱赤まで様々な濃淡が見られます。優良個体では、頭部全体に均一で美しい朱赤色が現れ、透明鱗との見事な調和を演出します。[3]
頬赤の表現も重要な特徴で、透明鱗特有の頬の赤い色彩が頭部の朱赤と相まって、非常に華やかで美しい印象を与えています。この色彩表現は、飼育環境や個体の成長によって徐々に発達していきます。[4]
背鰭反応については、ほぼない状態で固定されており、頭部の朱赤色が体色に影響を与えることなく、美しい丹頂表現を維持できるのも大きな特徴です。[2]
クラミツハメダカの4つのバリエーション
クラミツハメダカには、体型とヒレの特徴によって4つの主要なバリエーションが存在します。それぞれ異なる魅力を持ち、愛好家の好みに応じて選択できる多様性があります。基本的な透明鱗ブラックリムの特徴は共通していますが、ヒレの形状や体色に違いがあります。[1][3]
これらのバリエーションは、美心めだかの長期間にわたる選別作業により確立されたもので、それぞれが独立した品種として完成度の高い仕上がりとなっています。[3]
乱・茜・雅の朱赤系統
クラミツハ乱は、朱赤丹頂ブラックリムスワローの特徴を持つバリエーションです。スワロー特性により尾ビレが美しく、泳ぐ姿が非常に優雅で印象的です。朱赤丹頂と透明鱗の組み合わせにスワローが加わることで、最も華やかな印象を与えます。[3]
クラミツハ茜は、朱赤丹頂ブラックリムの基本形となるバリエーションです。スワローやヒレ長の特徴は持たず、最もスタンダードな体型を持ちます。透明鱗ブラックリムの美しさを最も純粋に楽しめる系統として位置づけられています。[5]
クラミツハ雅は、朱赤丹頂ブラックリムヒレ長の特徴を持つバリエーションです。松井ヒレ長の優雅さが加わることで、上品で洗練された印象を与えます。ヒレ長により各ヒレが美しく伸長し、観賞価値の高い外観を実現しています。[2]
これら3つの朱赤系統は、いずれも頭部の朱赤丹頂が美しく、透明鱗との調和が印象的です。ヒレの形状による違いはありますが、基本的な美しさは共通しています。[1]
玄の漆黒系統
クラミツハ玄は、他の3つのバリエーションとは大きく異なり、漆黒ブラックリムヒレ長スワローの特徴を持つ特別な系統です。朱赤の頭部を持たず、全身が漆黒で統一された独特の美しさを持っています。[3]
この系統は、雅や乱と違って黒いタイプのヒレ長スワローで、シックで高級感のある印象を与えます。透明鱗の特徴は保持しながら、色彩表現が大きく異なることで、クラミツハシリーズの中でも特に個性的な存在となっています。[3]
漆黒の体色とブラックリムの組み合わせにより、統一感のある美しさを実現しています。また、ヒレ長とスワローの両方の特徴を持つことで、泳ぐ姿が非常に優雅で印象的です。[2]
玄の作出は、他の系統とは異なる遺伝的背景が必要で、美心めだかの高い技術力を示す作品の一つとなっています。この系統により、クラミツハシリーズの多様性がさらに広がっています。[1]
クラミツハメダカの飼育方法と管理
クラミツハメダカの飼育は、基本的には一般的なメダカと同様の方法で行うことができます。体質的に弱いといったことは一切なく、普通のメダカと同じように飼育することが可能です。ただし、透明鱗とブラックリムの美しさを最大限に活かすための環境作りが重要になります。[4]
また、複数の形質を持つ品種のため、繁殖においては適切な選別と系統管理が品質維持の鍵となります。美心めだかの経験に基づく飼育ノウハウを参考にすることで、より良い結果を得ることができます。[3]
適切な飼育環境の整備
クラミツハメダカを飼育する際は、透明鱗の透明感とブラックリムのコントラストを美しく見せるため、適切な容器選択が重要です。白系や明るい色の容器を使用することで、透明鱗の美しさを最大限に引き出すことができます。
水質管理については、一般的なメダカ飼育と同様で、週1回程度の水換えを基本とし、清澄な水質を維持します。pHは中性付近を保ち、アンモニアや亜硝酸の蓄積を防ぐことが重要です。
照明については、透明鱗の透明感とブラックリムのコントラストを美しく見せるため、適切な光量を確保します。特に自然光の下では最も美しく映えるため、可能であれば自然光が当たる環境での飼育をおすすめします。[6]
温度管理については、美心めだかの飼育環境を参考にすると、室内縁側で午前中だけ窓越しの日が当たる環境で、日中は30度くらいまで水温が上がる条件でも良好な成長を示しています。[3]
選別と繁殖のポイント
クラミツハメダカの繁殖は簡単で、基本的な繁殖方法は他のメダカと変わりません。ただし、複数の形質を次世代に受け継がせるためには、適切な選別作業が不可欠です。[4][3]
選別作業では、まず健康的に問題がある個体を除外し、その後目的とする形質が発現している個体を選別します。透明鱗、ブラックリム、頭部の朱赤(玄以外)、ヒレの特徴などを総合的に評価して優良個体を選択します。[3]
美心めだかの経験では、固定率の向上には継続的な選別が重要で、第一次選別、第二次選別と段階的に行うことで、より品質の高い個体を得ることができます。選別に残る個体の割合は、系統や世代によって異なりますが、厳格な基準での選別が品質維持の鍵となります。[3]
ペアリングについては、各バリエーションの特徴を理解した上で、目的とする表現に応じた親魚を選択することが重要です。特にスワローやヒレ長の特徴を持つ系統では、これらの形質の維持に注意が必要です。[2]
クラミツハメダカの遺伝と改良
クラミツハメダカの遺伝は、透明鱗、ブラックリム、朱赤丹頂、ヒレ長、スワローなど複数の形質が関わる複雑なものです。各形質の遺伝様式を理解することで、より効率的な改良と品質向上が可能になります。[3]
美心めだかでは、これらの複雑な遺伝を理解した上で、アルビノ系統の導入など新たな改良の可能性も追求しています。これにより、クラミツハシリーズのさらなる発展が期待されています。[3]
透明鱗とブラックリムの遺伝
透明鱗は劣性遺伝の形質で、両親から透明鱗の遺伝子を受け継いだ個体のみに発現します。この特性により、透明鱗同士の交配では透明鱗の個体が生まれやすくなりますが、普通鱗との交配では次世代での発現率が下がります。[3]
ブラックリムについては、五式系譲りの特徴で比較的安定した遺伝を示します。ただし、表現の強弱には個体差があり、より美しいブラックリムを持つ個体を選別することで、次世代の品質向上を図ることができます。[2]
朱赤丹頂の表現についても、五式typeRから受け継いだ形質で、背鰭反応がほとんどないため安定した頭部の朱赤色を維持できます。この特徴により、体色に影響を与えることなく美しい丹頂表現を楽しむことができます。[2]
これらの形質の組み合わせにより、クラミツハメダカ特有の美しさが実現されており、適切な系統管理により品質の維持・向上が可能です。[1]
アルビノ系統と新たな可能性
美心めだかでは、クラミツハの改良過程でアルビノ系統も作出されています。クラミツハ乱アルビノは、先天性で黒色色素が欠乏しており、黄色丹頂透明鱗アルビノスワローという形質を持ちます。[3]
このアルビノ系統は、黄色の頭と白い体、ピンクの頬と赤い目を持ち、スワローが発現する愛らしい外観を持っています。アルビノが出現する理由は、クラミツハ作出過程で黄色色素の量や発現箇所を操るために導入されたためです。[3]
五式系は黒すぎて黄色色素の発現場所や強さが目視では分からないため、アルビノ個体を利用して黒を欠乏させた状態で余分な黄色が入っていないことを確認し、黄色を調整していく改良手法が取られています。[3]
このような高度な改良技術により、クラミツハシリーズのさらなる発展可能性が示されており、将来的にはより多様で美しい表現を持つ個体の作出が期待されています。[5][3]
## まとめ
クラミツハ(闇御津羽神)メダカは、佐賀県の美心めだかによって2021年秋にリリースされた、透明鱗ブラックリムという独特の美しさを持つ改良メダカです。五式typeR、黒蜂、紅薊、ブラック透明鱗スワロー、卑弥呼という5つの品種を複雑に交配することで作出され、日本神話の神様から名前を取った格調高い品種です。[1][2][3]
4つのバリエーション(乱・茜・雅・玄)により多様な表現を楽しむことができ、それぞれ異なる魅力を持っています。飼育は一般的なメダカと同様に容易で、体質的な弱さもなく初心者にも適しています。[4][3]
透明鱗とブラックリムの美しいコントラスト、朱赤丹頂の華やかさ、そして各バリエーションによる多様性により、クラミツハメダカは改良メダカ界において独特の地位を確立しています。美心めだかの技術力と創造性の結晶として、今後のさらなる発展が期待される注目の品種といえるでしょう。
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